損切り・利食い注文による手仕舞いは、たいていの業者では指定した損切り値幅、利食い値幅で決済できますが、注文そのものが業者に見えてしまうという問題があります。
ここで紹介するのは、ポジションに付加する注文は使わないで損切りや利食いを行う、いわゆる「ステルスモード」と呼ばれる方法です。
共通ライブラリには、ポジションごとに含み損益をpips単位で求める関数MyOrderProfitPips()
があります。これを使ってティックごとに損益をチェックしておけば、指定した損切り値幅、利食い値幅に達した時点(わずかに超えることはありますが)でポジションを決済することができます。
//共通ライブラリ
#include "LibEA.mqh"
sinput double Lots = 0.1; //売買ロット数
input double SLpips = 25; //損切り値幅(pips)
input double TPpips = 50; //利食い値幅(pips)
//ティック時実行関数
void Tick()
{
//損切り・利食いによる手仕舞い
if((SLpips != 0 && MyOrderProfitPips() <= -SLpips)
|| (TPpips != 0 && MyOrderProfitPips() >= TPpips)) MyOrderClose();
int sig_entry = EntrySignal(); //仕掛けシグナル
//成行売買
MyOrderSendMarket(sig_entry, sig_entry, Lots);
}
input int FastMAPeriod = 20; //短期移動平均の期間
input int SlowMAPeriod = 50; //長期移動平均の期間
//仕掛けシグナル関数
int EntrySignal()
{
//1本前と2本前の移動平均
double FastMA1 = iMA(_Symbol, 0, FastMAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 1);
double FastMA2 = iMA(_Symbol, 0, FastMAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 2);
double SlowMA1 = iMA(_Symbol, 0, SlowMAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 1);
double SlowMA2 = iMA(_Symbol, 0, SlowMAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 2);
int ret = 0; //シグナルの初期化
//買いシグナル
if(FastMA2 <= SlowMA2 && FastMA1 > SlowMA1) ret = 1;
//売りシグナル
if(FastMA2 >= SlowMA2 && FastMA1 < SlowMA1) ret = -1;
return ret; //シグナルの出力
}
MyOrderProfitPips()
は、引数がなければ0番のポジションの含み損益をpips単位で返します。別途宣言した損切り値幅SLpips
(0を除く)、利食い値幅TPpips
(0を除く)との比較により損切り価格、利食い価格に到達したかを判別し、どちらかの条件を満たせば、MyOrderClose()
でそのポジションを決済します。
ただし、損失の場合マイナスの値となるので、損切りの判別では、SLpips
ではなく、-SLpips
と比較します。
<aside> 💡 損益のチェックはティック単位で行うので、ストラテジーテスターのモデルを「全ティック」にしてバックテストする必要があります。
</aside>